夜光る玉といふとも酒飲みて
心を遣るにあにしかめやも
- 歌の意味
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夜に光る玉といっても、酒を飲んで憂さを晴らすことに、どうして及ぶだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 346
詞書は前の歌に続き「大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首」
大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首の九首目である。夜に光るという名高い宝玉でさえ、酒を飲んで心を晴らすことには及ばないとたたえている。中国の夜光の璧の故事を踏まえ、前歌の「価なき宝」に続いて、宝と酒とを比べる構成をとっている。
讃酒歌十三首は、大宰府にあった旅人が酒をたたえることを通して、世の賢しらを退け、人生の憂いを慰める思いを詠んだ一連で、中国の竹林の七賢などの故事を踏まえている。
作者の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、中納言、大宰帥を経て大納言に至り、天平三年(731)に没した。漢詩文の教養に富み、大宰帥として筑紫にあった時には、山上憶良らとともに歌の交流の中心となった。
初句「夜光る」 夜に光る、の意で、中国の故事にいう夜光の玉を指す。
二句「玉といふとも」 宝玉といっても、の意で、前歌の二句「宝といふとも」と同じ構文をとっている。
三句「酒飲みて」 酒を飲んで、の意である。
四句「心を遣るに」 「心を遣る」は憂さを晴らす、気を晴らす意である。
結句「あにしかめやも」 「しく」は及ぶ意で、どうして及ぶだろうか、いや及ばない、と反語で結んでいる。前歌の結句「あにまさめやも」と対をなしている。
やる:心の憂さを晴らす
しく:及ぶ、匹敵する
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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価なき宝といふとも一杯の 濁れる酒にあにまさめやも
- 次の歌
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世間の遊びの道に楽しきは 酔ひ泣きするにあるべくあるらし