縄の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島
漕ぎ廻る舟は釣りしすらしも
- 歌の意味
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縄の浦から背後の方に見える沖の島を、漕ぎめぐっている舟は、釣りをしているらしい。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 357
詞書「山部宿禰赤人の歌六首」
山部赤人の歌六首の一首目である。播磨の縄の浦から、背後に見える沖の島のまわりを漕ぎめぐる舟を眺め、釣りをしているのだろうと推し量っている。遠くの小舟の動きを静かにとらえた、赤人らしい澄んだ叙景歌である。本巻の第三百五十四首も縄の浦を詠んでおり、同じ地の歌が続けて配されている。
山部赤人の歌六首は、播磨から摂津にかけての海辺の旅の歌を中心とし、望郷や恋の思いを交えた一連である。
作者の山部赤人は聖武朝の宮廷歌人で、行幸に従って多くの歌を詠み、清らかで澄んだ叙景歌にすぐれた。後世、柿本人麻呂と並んで歌聖と称された。
初句「縄の浦ゆ」 縄の浦は播磨国の海岸で、「ゆ」は起点を表す格助詞である。六音の字余りである。
二句「そがひに見ゆる」 そがひは背後の方向、後ろの方の意で、後ろの方に見える、の意である。
三句「沖つ島」 沖にある島のことである。
四句「漕ぎ廻る舟は」 「廻る」はめぐる、回る意で、島のまわりを漕ぎめぐっている舟は、の意である。
結句「釣りしすらしも」 「し」は強意、「らし」は推定、「も」は詠嘆で、釣りをしているらしい、と推し量って結んでいる。
そがひ:背後の方向、後ろの方
おきつしま:沖にある島
みる:めぐる、回る
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今日もかも明日香の川の夕さらず かはづ鳴く瀬のさやけくあるらむ
- 次の歌
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武庫の浦を漕ぎ廻る小舟粟島を そがひに見つつ羨しき小舟