武庫の浦を漕ぎ廻る小舟粟島を
そがひに見つつ羨しき小舟
- 歌の意味
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武庫の浦を漕ぎめぐる小舟は、粟島を背後に見ながら行く。うらやましい小舟よ。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 358
詞書は前の歌に続き「山部宿禰赤人の歌六首」
山部赤人の歌六首の二首目である。武庫の浦を漕ぎめぐる小舟が、粟島を背にして大和の方へ向かっていくのを見て、うらやましいと詠んでいる。旅にある身が、故郷の方へ帰っていく舟をうらやむ心情と解されている。二句と結句に「小舟」を繰り返し、目を奪われる思いを強めている。前歌と同じく「そがひ」の語を用いている。
山部赤人の歌六首は、播磨から摂津にかけての海辺の旅の歌を中心とし、望郷や恋の思いを交えた一連である。
作者の山部赤人は聖武朝の宮廷歌人で、行幸に従って多くの歌を詠み、清らかで澄んだ叙景歌にすぐれた。後世、柿本人麻呂と並んで歌聖と称された。
初句「武庫の浦を」 武庫の浦は摂津国の武庫川河口付近の海である。六音の字余りである。
二句「漕ぎ廻る小舟」 漕ぎめぐる小さな舟、の意である。結句でも「小舟」を繰り返している。
三句「粟島を」 粟島は淡路島の付近の島とされるが、所在は明らかでない。
四句「そがひに見つつ」 背後に見ながら、の意で、前歌の二句と同じく「そがひ」の語を用いている。
結句「羨しき小舟」 「羨し」はうらやましい意で、体言止めにより小舟への思いを余韻として残している。
そがひ:背後の方向、後ろの方
あはしま:淡路島付近の島とされるが所在未詳
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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縄の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島 漕ぎ廻る舟は釣りしすらしも
- 次の歌
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阿倍の島鵜の住む磯に寄する波 間なくこのころ大和し思ほゆ