みさご居る磯廻に生ふるなのりその
名は告らしてよ親は知るとも
- 歌の意味
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みさごのいる磯のめぐりに生えているなのりそ、その名のように「名を告げるな」と言わずに、あなたの名を教えてください。親が知ったとしても。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 362
詞書は前の歌に続き「山部宿禰赤人の歌六首」
山部赤人の歌六首の六首目で、一連を締めくくる歌である。海藻のなのりそが「名告りそ」、すなわち名を告げるなという意に通じることを利用して、名を告げてほしい、親に知られてもかまわないと、女に求婚する男の心を詠んでいる。古代には女が男に名を告げることは結婚の承諾を意味した。上の三句は「名」を導く序詞で、海辺の景から恋の歌へと転じている。
山部赤人の歌六首は、播磨から摂津にかけての海辺の旅の歌を中心とし、望郷や恋の思いを交えた一連である。
作者の山部赤人は聖武朝の宮廷歌人で、行幸に従って多くの歌を詠み、清らかで澄んだ叙景歌にすぐれた。後世、柿本人麻呂と並んで歌聖と称された。
初句「みさご居る」 みさごは魚を捕らえるタカ科の鳥で、海辺にすむ。
二句「磯廻に生ふる」 磯廻は磯のめぐり、磯のあたりの意である。
三句「なのりその」 なのりそはホンダワラの古名で、「名告りそ(名を告げるな)」の意を掛けている。ここまでが「名」を導く序詞である。
四句「名は告らしてよ」 「告らす」は告げる意の尊敬語で、名を告げてください、の意である。ここで句切れとなる。
結句「親は知るとも」 「とも」は逆接の仮定条件で、親が知ったとしても、と求婚の強い思いを示して結んでいる。
みさご:魚を捕らえるタカ科の鳥
いそみ:磯のめぐり
なのりそ:海藻のホンダワラ。「名告りそ(名を告げるな)」の意を掛ける
のらす:おっしゃる、告げる
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋風の寒き朝明を佐農の岡 越ゆらむ君に衣貸さましを
- 次の歌
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みさご居る荒磯に生ふるなのりその よし名は告らせ親は知るとも