みさご居る荒磯に生ふるなのりその
よし名は告らせ親は知るとも
- 歌の意味
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みさごのいる荒磯に生えているなのりそ、その名のように黙っていないで、ままよ、あなたの名を告げてください。親が知ったとしても。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 363
詞書は前の歌に続き「山部宿禰赤人の歌六首」の「或本の歌に曰く」
前歌の異伝で、或本に伝わる形である。二句が「荒磯に生ふる」、四句が「よし名は告らせ」と異なり、「よし」によって、ままよ、どうなってもかまわない、という思い切った気持ちが加わっている。前歌と同じく、なのりその名を用いて求婚の思いを述べている。
作者の山部赤人は聖武朝の宮廷歌人で、行幸に従って多くの歌を詠み、清らかで澄んだ叙景歌にすぐれた。後世、柿本人麻呂と並んで歌聖と称された。
初句「みさご居る」 前歌と同じ初句で、みさごのいる、の意である。
二句「荒磯に生ふる」 荒磯は波の荒い岩の多い海辺である。前歌の「磯廻に生ふる」に対し、景をより荒々しくとらえている。
三句「なのりその」 なのりそに「名告りそ(名を告げるな)」の意を掛け、「名」を導いている。前歌と同じ句である。
四句「よし名は告らせ」 「よし」はままよ、たとえどうなろうとも、の意の副詞である。前歌の「名は告らしてよ」に比べ、思い切った強い調子となっている。ここで句切れとなる。
結句「親は知るとも」 前歌と同じ結句で、親が知ったとしても、と結んでいる。
ありそ:波の荒い岩の多い海辺
なのりそ:海藻のホンダワラ。「名告りそ(名を告げるな)」の意を掛ける
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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みさご居る磯廻に生ふるなのりその 名は告らしてよ親は知るとも
- 次の歌
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ますらをの弓末振り起し射つる矢を 後見む人は語り継ぐがね