ますらをの弓末振り起し射つる矢を
後見む人は語り継ぐがね
- 歌の意味
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勇士が弓の先を振り起こして射た矢を、後にこれを見る人は、語り継いでほしいものだ。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 364
詞書「笠朝臣金村の塩津山にして作る歌二首」
近江から越前へ越える塩津山で詠んだ歌である。峠で勇ましく弓を引き絞って射た矢を、後にこれを見る人々が語り継いでくれるようにと願っている。峠で矢を射立てて旅の安全を祈る習俗があったともいわれ、旅の勇壮な一場面をとらえている。塩津山は現在の滋賀県長浜市西浅井町の峠である。
作者の笠金村は聖武朝の宮廷歌人で、行幸に従って多くの長歌と短歌を詠んだ。
初句「ますらをの」 ますらをは勇ましく立派な男子のことで、作者自身を指すとも解される。
二句「弓末振り起し」 弓末は弓の上端で、弓を力強く振り立てて、の意である。八音の字余りである。
三句「射つる矢を」 「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、射た矢を、の意である。
四句「後見む人は」 後にこれを見るであろう人は、の意である。
結句「語り継ぐがね」 「がね」は願望を表す終助詞で、語り継いでほしい、と願って結んでいる。
ますらを:勇ましく立派な男子
ゆずゑ:弓の上端
- 作者
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笠金村
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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みさご居る荒磯に生ふるなのりその よし名は告らせ親は知るとも
- 次の歌
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塩津山打ち越え行けば我が乗れる 馬ぞつまづく家恋ふらしも