意宇の海の河原の千鳥汝が鳴けば
我が佐保川の思ほゆらくに
- 歌の意味
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意宇の海の河原の千鳥よ、お前が鳴くと、わが故郷の佐保川のことが思い出されてならない。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 371
詞書「出雲守門部王の京を思ふ歌一首」と注「後に大原真人の氏を賜ふ」
出雲守として任地にあった時、都を思って詠んだ歌である。意宇の海に注ぐ川の河原で鳴く千鳥の声を聞き、都の家のそばを流れる佐保川を思い出している。千鳥は佐保川の景物としても知られ、同じ鳥の声が遠い故郷の川を呼び起こしている。本巻の第二百六十六首の柿本人麻呂の歌も「汝が鳴けば」と千鳥に呼びかけて昔をしのんでおり、同じ趣向をとっている。
作者の門部王は奈良時代の王族で、出雲守、右京大夫などを歴任し、のちに大原真人の氏姓を賜った。
初句「意宇の海の」 意宇は出雲国府のあった郡で、意宇の海は中海あるいは宍道湖とされる。六音の字余りである。
二句「河原の千鳥」 河原で鳴く千鳥である。
三句「汝が鳴けば」 千鳥に「汝」と呼びかけている。本巻の第二百六十六首の三句と同じ句である。
四句「我が佐保川の」 佐保川は平城京の北東を流れる川で、作者の都の家の近くを流れていた。
結句「思ほゆらくに」 「思ほゆらく」は「思ほゆ」のク語法、「に」は詠嘆で、思われてならないことよ、と望郷の思いで結んでいる。
おうのうみ:出雲国意宇郡の海。中海あるいは宍道湖とされる
- 作者
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門部王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雨降らずとの曇る夜のぬるぬると 恋ひつつ居りき君待ちがてり
- 次の歌
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高座の御笠の山に鳴く鳥の 止めば継がるる恋もするかも