雨降らば着むと思へる笠の山
人にな着せそ濡れは漬つとも
- 歌の意味
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雨が降ったらかぶろうと思っている笠の山よ、ほかの人にはかぶらせないでおくれ、たとえ私がずぶ濡れになっても。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 374
詞書「石上乙麻呂朝臣の歌一首」
笠の山を、雨が降ったらかぶろうと思っている自分の笠に見立て、ほかの人にはかぶらせるなと呼びかけた歌である。笠を恋しい女にたとえ、自分のものと決めている女をほかの男に渡さないでほしいという思いを寓したものと解される。笠の山は奈良の三笠山、あるいは桜井市笠の山とされる。
作者の石上乙麻呂は石上麻呂の子で、天平十一年(739)に土佐に配流されたが、のちに許され、中納言に至った。
初句「雨降らば」 雨が降ったならば、の意である。
二句「着むと思へる」 「着る」はここでは笠をかぶる意で、かぶろうと思っている、の意である。
三句「笠の山」 笠の山に、自分の笠を重ねている。
四句「人にな着せそ」 「な〜そ」は禁止で、ほかの人にかぶらせないでくれ、の意である。ここで句切れとなる。
結句「濡れは漬つとも」 「漬つ」はびっしょり濡れる意で、たとえ私がずぶ濡れになっても、と強い思いで結んでいる。
きる:笠などをかぶる
ひつ:びっしょり濡れる
- 作者
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石上乙麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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高座の御笠の山に鳴く鳥の 止めば継がるる恋もするかも
- 次の歌
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吉野なる菜摘の川の川淀に 鴨ぞ鳴くなる山蔭にして