木綿畳手に取り持ちてかくだにも
我れは祈ひなむ君に逢はじかも
- 歌の意味
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木綿畳を手に取り持って、せめてこのようにでも私は神に祈ろう。それでもあなたに逢えないのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 380
詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の神を祭る歌一首并せて短歌」の「反歌」
大伴氏の氏神を祭った時の長歌に添えられた反歌である。木綿を手に取ってこれほどまでに神に祈っても、恋しい人に逢えないのだろうかと、祭りの場で恋の願いを込めている。左注には、天平五年(733)の冬十一月に大伴氏の神を祭った時に少しばかりこの歌を作ったので、祭神歌という、とある。神祭りと恋の思いとが一体となった歌である。
作者の大伴坂上郎女は大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹、大伴家持の叔母にあたる。大伴家の家刀自として一族を支え、万葉集に多くの歌を残した女流歌人である。
初句「木綿畳」 木綿を畳んだもので、神事に用いる。
二句「手に取り持ちて」 手に取り持って、の意である。
三句「かくだにも」 「だに」は、せめて〜だけでも、の意で、せめてこのようにでも、の意である。
四句「我れは祈ひなむ」 「祈ふ」は神に祈る意、「なむ」は強い意志で、私は祈ろう、の意である。ここで句切れとなる。
結句「君に逢はじかも」 「じ」は打消の推量、「かも」は疑問を含む詠嘆で、それでもあなたに逢えないのだろうか、と不安を込めて結んでいる。
ゆふだたみ:木綿を畳んだもの。神事に用いる
こふ:神に祈る、願う
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いにしへの古き堤は年深み 池の渚に水草生ひにけり
- 次の歌
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家思ふと心進むな風まもり 好くしていませ荒しその道