この夕柘のさ枝の流れ来ば
梁は打たずて取らずかもあらむ
- 歌の意味
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この夕方、もし柘の枝が流れてきたとしたら、梁を仕掛けていないので、取らずに終わってしまうのではなかろうか。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 386
詞書は前の歌に続き「仙柘枝の歌三首」
仙柘枝の歌三首の二首目である。伝説の味稲のように、もしこの夕方に柘の枝が流れてきても、自分は梁を仕掛けていないので、取れずに終わってしまうだろうと、伝説を踏まえた機知を見せている。仙女に出会う好機を逃すことへの戯れの嘆きとも読める。左注は「右一首」とのみ記し、作者の名を記さないため、作者は確定できない。
仙柘枝の歌三首は、吉野の漁夫の味稲が、川を流れてきた柘の枝を拾ったところ、それが美しい仙女となって夫婦になったという伝説にちなむ一連である。
初句「この夕」 この夕方、の意である。
二句「柘のさ枝の」 柘は山桑の一種、「さ」は接頭語で、柘の枝が、の意である。
三句「流れ来ば」 流れてきたならば、の意で、仮定条件である。
四句「梁は打たずて」 梁は川に杭を打ち並べて魚をとる仕掛けで、それを打っていないので、の意である。
結句「取らずかもあらむ」 「か」は疑問、「む」は推量で、取らずに終わるのではなかろうか、と結んでいる。
つみ:山桑の一種、柘
さえだ:枝。「さ」は接頭語
やな:川に杭を打ち並べて魚をとる仕掛け
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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霰降り吉志美が岳をさがしみと 草取りかなわ妹が手を取る
- 次の歌
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いにしへに梁打つ人のなかりせば ここにもあらまし柘の枝はも