陸奥の真野の草原遠けども
面影にして見ゆといふものを
- 歌の意味
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陸奥の真野の草原は遠いけれども、面影として目に浮かぶというのに。(近くにいるあなたの姿は見えないことだ。)
- 鑑賞
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巻第三 譬喩歌 396
詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿禰家持に贈る歌三首」
巻第三の譬喩歌の部に収められた歌である。笠女郎が大伴家持に贈った歌三首の二首目である。はるか遠い陸奥の真野の草原でさえ、面影として目に浮かぶというのに、近くにいるはずのあなたには逢えず、面影さえ定かでないと、逢えない恋のつらさを訴えている。遠い地名を引き合いに出すことで、心の隔たりを際立たせている。真野は現在の福島県南相馬市のあたりとされる。
笠女郎が大伴家持に贈った歌三首は、紫草、草原、菅といった植物に託して恋心を表した一連である。
作者の笠女郎は奈良時代の女流歌人で、大伴家持に思いを寄せ、恋の歌を贈ったことで知られる。
初句「陸奥の」 陸奥は東北地方の古い呼び名で、都から最も遠い地の代表である。
二句「真野の草原」 真野の草原は陸奥国の真野にある、かやの生えた原である。
三句「遠けども」 遠いけれども、の意で、「ども」は逆接である。
四句「面影にして」 面影は心に浮かぶ姿で、面影として、の意である。
結句「見ゆといふものを」 見えるというのに、の意で、「ものを」に、近くのあなたは見えないという恨みを込めて結んでいる。
かやはら:かやの生えている原
おもかげ:心に浮かぶ姿
- 作者
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笠女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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託馬野に生ふる紫草衣に染め いまだ着ずして色に出でにけり
- 次の歌
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奥山の岩本菅を根深めて 結びし心忘れかねつも