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奥山の岩本菅を根深めて
結びし心忘れかねつも

歌の意味
奥山の岩の根もとに生える菅の根が深いように、心の奥深くから結んだ契りの心を、忘れることができない。
鑑賞
巻第三 譬喩歌 397

詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿禰家持に贈る歌三首」
 巻第三の譬喩歌の部に収められた歌である。笠女郎が大伴家持に贈った歌三首の三首目で、一連を締めくくる歌である。奥山の岩の根もとに深く根を張る菅のように、心の底から結んだ契りの心を忘れられないと、変わらぬ思いを訴えている。上の二句は「根深め」を導く序詞で、菅の根の深さに思いの深さを重ねている。
 笠女郎が大伴家持に贈った歌三首は、紫草、草原、菅といった植物に託して恋心を表した一連である。
 作者の笠女郎は奈良時代の女流歌人で、大伴家持に思いを寄せ、恋の歌を贈ったことで知られる。

 初句「奥山の」 奥深い山の、の意である。
 二句「岩本菅を」 岩の根もとに生える菅を、の意で、ここまでが「根深め」を導く序詞である。
 三句「根深めて」 根を深く張らせて、の意で、菅の根の深さから、心の奥深くから、の意へと転じている。
 四句「結びし心」 結んだ心、すなわち交わした契りの心である。菅を結ぶことと、契りを結ぶこととを重ねている。
 結句「忘れかねつも」 忘れることができない、の意で、「つ」は完了、「も」は詠嘆である。

いはもとすげ:岩の根もとに生える菅
むすぶ:草などを結ぶ。また契りを結ぶ
作者
笠女郎
出典
万葉集
前の歌
陸奥の真野の草原遠けども 面影にして見ゆといふものを
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妹が家に咲きたる梅のいつもいつも なりなむ時に事は定めむ