山守のありける知らにその山に
標結ひ立てて結ひの恥しつ
- 歌の意味
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山の番人がいたことも知らずに、その山に標縄を張り立てて、標を結った恥をかいてしまった。
- 鑑賞
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巻第三 譬喩歌 401
詞書「大伴坂上郎女の親族と宴する日に吟ふ歌一首」
巻第三の譬喩歌の部に収められた歌である。親族を招いた宴の席で吟じた歌である。すでに番人のいる山とは知らずに、自分のものにしようと標縄を張って恥をかいたと述べている。山を男にたとえ、娘の婿にと目をつけた男にはすでに決まった相手がいたことを、戯れにたとえたものと解されている。次歌で大伴駿河麻呂がこれに和している。
作者の大伴坂上郎女は大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹、大伴家持の叔母にあたる。大伴家の家刀自として一族を支え、万葉集に多くの歌を残した女流歌人である。
初句「山守の」 山守は山の番人のことで、ここでは男にすでにいる相手を寓している。
二句「ありける知らに」 「知らに」は知らずに、の意で、いたことも知らずに、の意である。
三句「その山に」 その山に、の意で、目をつけた男を寓している。
四句「標結ひ立てて」 標縄を張り立てて、の意で、自分のものと定めようとしたことを示している。
結句「結ひの恥しつ」 標を結った恥をかいた、の意で、「つ」は完了である。四句の「結ひ」を重ねて、戯れの自嘲で結んでいる。
やまもり:山の番人
しめ:占有のしるしに結ぶ縄
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梅の花咲きて散りぬと人は言へど 我が標結ひし枝にあらめやも
- 次の歌
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山守はけだしありとも我妹子が 結ひけむ標を人解かめやも