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山守はけだしありとも我妹子が
結ひけむ標を人解かめやも

歌の意味
山の番人がたとえいたとしても、あなたが結ったという標を、ほかの人が解いたりするでしょうか。
鑑賞
巻第三 譬喩歌 402

詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の親族と宴する日に吟ふ歌一首」の「大伴宿禰駿河麻呂の即ち和ふる歌一首」
 巻第三の譬喩歌の部に収められた歌である。前歌の大伴坂上郎女の歌に、その場ですぐに和した歌である。たとえ山守がいたとしても、あなたが結った標をほかの人が解くことなどあろうかと、郎女の自嘲を打ち消し、その思いを受け入れる意を示している。前歌の「山守」「標」「結ふ」の語をそのまま受けて応じている。
 作者の大伴駿河麻呂は大伴御行の孫とされる奈良時代の官人で、のちに陸奥按察使兼鎮守将軍として東北の経営にあたり、宝亀七年(776)に没した。

 初句「山守は」 前歌の初句の「山守」を受けている。
 二句「けだしありとも」 「けだし」はもしかして、の意で、たとえいたとしても、の意である。
 三句「我妹子が」 我妹子は親しい女性を呼ぶ語で、ここでは坂上郎女を指す。
 四句「結ひけむ標を」 あなたが結ったという標を、の意で、前歌の「標結ひ立てて」を受けている。
 結句「人解かめやも」 「め」は推量の「む」の已然形、「やも」は反語で、ほかの人が解くことがあろうか、と強く打ち消して結んでいる。

とく:結んだものをほどく
作者
大伴駿河麻呂
出典
万葉集
前の歌
山守のありける知らにその山に 標結ひ立てて結ひの恥しつ
次の歌
朝に日に見まく欲りするその玉を いかにせばかも手ゆ離れずあらむ