あしひきの岩根こごしみ菅の根を
引かばかたみと標のみぞ結ふ
- 歌の意味
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山の岩根がごつごつと険しいので、菅の根を引き抜こうとしても難しいだろうと、今はただ標だけを結っておく。
- 鑑賞
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巻第三 譬喩歌 414
詞書「大伴宿禰家持の歌一首」
巻第三の譬喩歌の部に収められた歌である。巻第三の譬喩歌の部を締めくくる歌である。岩がごつごつと険しいので、菅の根を引き抜くのは難しいと考え、今はただ自分のものというしるしの標だけを結っておくと詠んでいる。恋しい相手のまわりの事情が厳しく、今はまだ思いを遂げられないので、約束だけを交わしておこうという思いを寓したものと解されている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。越中守、因幡守などを経て中納言に至り、延暦四年(785)に没した。万葉集の編纂に深く関わったとされる。
初句「あしひきの」 「山」にかかる枕詞であるが、ここでは山を略して「岩根」に続けている。
二句「岩根こごしみ」 岩根は大地に根を張った大きな岩、「こごし」は険しい意、「み」は原因を表し、岩がごつごつして険しいので、の意である。
三句「菅の根を」 菅の根を、の意で、恋しい相手を寓している。
四句「引かばかたみと」 「かたみ」は「難し」の語幹に「み」がついた形で、引き抜くのは難しいので、の意である。
結句「標のみぞ結ふ」 「ぞ」は係助詞で、連体形「結ふ」と係り結びとなる。ただ標だけを結っておく、と今はしるしだけを残しておく思いで結んでいる。
いはね:大地に根を張った大きな岩
すげ:カヤツリグサ科の草、菅
しめ:占有のしるしに結ぶ縄
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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須磨の海女の塩焼き衣の藤衣 間遠にしあればいまだ着なれず
- 次の歌
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家にあらば妹が手まかむ草枕 旅に臥やせるこの旅人あはれ