豊国の鏡の山の岩戸立て
隠りにけらし待てど来まさず
- 歌の意味
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豊国の鏡の山の岩戸を閉ざして、中に籠もってしまわれたらしい。いくら待ってもおいでにならない。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 418
詞書は前の歌に続き「河内王を豊前国の鏡山に葬る時に、手持女王の作る歌三首」
手持女王の三首の二首目である。鏡山の墓の岩戸を閉ざして中に籠もってしまわれたらしく、いくら待っても戻ってこられないと、亡き人がもう帰らない悲しみを詠んでいる。墓の入り口を岩戸と呼ぶことで、天の岩戸の神話が重ねられ、次歌の「岩戸破る手力」へとつながっている。
手持女王の三首は、大宰帥として筑紫で没した河内王を、豊前国の鏡山に葬った時の挽歌の一連である。
作者の手持女王は河内王の妻とされる奈良時代初めの女性であるが、伝は未詳である。
初句「豊国の」 豊前と豊後の古い呼び名である。
二句「鏡の山の」 前歌の四句と同じ鏡山を指す。
三句「岩戸立て」 岩戸は墓の入り口を岩屋の戸にたとえたもので、それを閉ざして、の意である。
四句「隠りにけらし」 「けらし」は根拠のある推定で、籠もってしまわれたらしい、の意である。ここで句切れとなる。
結句「待てど来まさず」 「来ます」は「来」の尊敬語で、待ってもおいでにならない、と悲しみを込めて結んでいる。
いはと:岩屋の戸。ここでは墓の入り口
こもる:中に入って閉じこもる
- 作者
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手持女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大君の和魂あへや豊国の 鏡の山を宮と定むる
- 次の歌
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岩戸破る手力もがも手弱き 女にしあればすべの知らなく