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およづれのたはこととかも高山の
巌の上に君が臥やせる

歌の意味
人を惑わすでたらめな言葉なのだろうか。高い山の巌の上に、あなたが横たわっておられるというのは。
鑑賞
巻第三 挽歌 421

詞書は前の歌に続き「石田王の卒りし時に、丹生王の作る歌一首并せて短歌」の「反歌」
 石田王の死を悼んだ長歌に添えられた反歌の一首目である。高い山の巌の上に王が葬られて横たわっているという知らせを、人を惑わすでたらめであってほしいと、死を信じきれない思いを詠んでいる。突然の訃報に接した驚きと、受け入れがたい悲しみが率直に表れている。石田王は伝未詳の王族である。
 作者の丹生王は奈良時代の王族で、女性とされるが、伝は未詳である。

 初句「およづれの」 およづれは人を惑わす妄言のことである。
 二句「たはこととかも」 たはことはでたらめな言葉で、「かも」は疑問である。でたらめな言葉なのだろうか、の意で、結句の連体形「臥やせる」と呼応している。
 三句「高山の」 高い山の、の意である。
 四句「巌の上に」 巌は大きな岩で、墓所を指している。
 結句「君が臥やせる」 「臥やす」は横たわる意の尊敬語で、あなたが横たわっておられる、と倒置で結んでいる。

およづれ:人を惑わす妄言
たはこと:でたらめな言葉
いはほ:大きな岩
作者
丹生王
出典
万葉集
前の歌
岩戸破る手力もがも手弱き 女にしあればすべの知らなく
次の歌
石上布留の山なる杉群の 思ひ過ぐべき君にあらなくに