石上布留の山なる杉群の
思ひ過ぐべき君にあらなくに
- 歌の意味
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石上の布留の山にある杉の群れ、その「すぎ」ではないが、思いが過ぎ去って忘れられるようなあなたではないのに。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 422
詞書は前の歌に続き「石田王の卒りし時に、丹生王の作る歌一首并せて短歌」の「反歌」
石田王の死を悼んだ長歌の反歌の二首目である。石上の布留の山の杉の「すぎ」から「思ひ過ぐ」を導き、あなたは忘れ去ってしまえるような人ではないと、亡き人への尽きない思いを詠んでいる。上の三句は同音の繰り返しによる序詞である。本巻の第三百二十五首の山部赤人の歌も「思ひ過ぐべき恋にあらなくに」と、同じ言い回しで忘れがたい思いを述べている。
作者の丹生王は奈良時代の王族で、女性とされるが、伝は未詳である。
初句「石上」 「布留」にかかる枕詞で、石上は大和国の地名である。
二句「布留の山なる」 布留の山は現在の奈良県天理市の石上神宮のあたりの山である。
三句「杉群の」 杉の群がり生えている所の、の意で、ここまでが「杉」と同音の「過ぐ」を導く序詞である。
四句「思ひ過ぐべき」 「思ひ過ぐ」は思いが消え去る、忘れる意である。本巻の第三百二十五首の四句と同じ句である。
結句「君にあらなくに」 あなたではないのに、の意で、忘れられない亡き人への思いで結んでいる。
すぎむら:杉の群がり生えている所
おもひすぐ:思いが消え去る、忘れる
- 作者
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丹生王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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およづれのたはこととかも高山の 巌の上に君が臥やせる
- 次の歌
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こもりくの泊瀬娘子が手に巻ける 玉は乱れてありと言はずやも