- 歌の意味
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旅の途中の宿りの地で、いったい誰の夫なのだろうか、故郷を忘れたように倒れている。家では帰りを待っているだろうに。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 426
詞書「柿本朝臣人麻呂の香具山の屍を見て悲慟して作る歌一首」
香具山で行き倒れて死んでいる人を見て、深く悲しんで詠んだ歌である。どこの誰の夫なのか、故郷を忘れたかのように倒れているが、家では妻が帰りを待っているだろうにと、死者とその家族を思いやっている。本巻の第四百十五首の聖徳太子の歌と同じく、旅先で死んだ人を悼む行路死人歌である。
作者の柿本人麻呂は、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人で、長歌と短歌の両方にすぐれ、後世「歌聖」と仰がれた。官位は低く、その生涯には不明な点が多い。
初句「草枕」 「旅」にかかる枕詞である。
二句「旅の宿りに」 旅の途中の宿りの地に、の意である。
三句「誰が嬬か」 嬬はここでは夫を指し、誰の夫であろうか、の意である。「か」は疑問の係助詞で、四句の連体形「たる」と係り結びとなる。
四句「国忘れたる」 故郷を忘れたように倒れている、の意である。死によって故郷に帰れなくなったことを、忘れたと表している。
結句「家待たまくに」 「まく」は推量の「む」のク語法で、家では待っているだろうに、と結んでいる。
つま:夫または妻。ここでは夫
やどり:旅先で泊まる所
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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川風の寒き泊瀬を嘆きつつ 君が歩くに似る人も逢へや
- 次の歌
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百足らず八十隈坂に手向けせば 過ぎにし人にけだし逢はむかも