鞆の浦の磯のむろの木見むごとに
相見し妹は忘らえめやも
- 歌の意味
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鞆の浦の磯のむろの木を見るたびに、ともにこれを見た妻のことが、どうして忘れられようか。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 447
詞書は前の歌に続き「天平二年庚午冬十二月、大宰帥大伴卿の京に向かひて上道する時に作る歌五首」
帰京の途上で詠んだ五首の二首目である。鞆の浦の磯のむろの木を見るたびに、ともにそれを見た妻のことが忘れられないと、むろの木を妻の形見のように見ている。前歌に続いてむろの木を詠み、妻への思いを重ねている。
天平二年(730)の冬十二月、大納言に任じられて大宰府から都へ上る途中の旅人が、往路に亡き妻とともに見た鞆の浦と敏馬の崎の景を、ひとりで再び見て詠んだ一連である。
作者の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、中納言、大宰帥を経て大納言に至り、天平三年(731)に没した。漢詩文の教養に富み、大宰帥として筑紫にあった時には、山上憶良らとともに歌の交流の中心となった。
初句「鞆の浦の」 鞆の浦の、の意で、六音の字余りである。
二句「磯のむろの木」 磯に生えるむろの木で、前歌の三句を受けている。
三句「見むごとに」 見るたびに、の意である。
四句「相見し妹は」 ともに見た妻は、の意である。
結句「忘らえめやも」 「え」は可能、「め」は推量の「む」の已然形、「やも」は反語で、忘れられようか、いや忘れられない、と結んでいる。
あひみる:ともに見る、また会う
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我妹子が見し鞆の浦のむろの木は 常世にあれど見し人ぞなき
- 次の歌
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磯の上に根延ふむろの木見し人を いづらと問はば語り告げむか