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遠長く仕へむものと思へりし
君しまさねば心どもなし

歌の意味
いつまでも長くお仕えしようと思っていたわが君がいらっしゃらないので、心の張りもなくなってしまった。
鑑賞
巻第三 挽歌 457

詞書は前の歌に続き「天平三年辛未の秋七月、大納言大伴卿の薨ぜし時の歌六首」
 大伴旅人の死を悼んだ歌六首の四首目である。いつまでもお仕えするつもりでいた主人がいなくなり、生きる張り合いを失ってしまったと、従者としての深い喪失感を詠んでいる。主人に仕えることを生きがいとしていた作者の心が、率直に表れている。
 天平三年(731)秋七月、大納言大伴旅人が亡くなった時の歌六首は、仕えた主人を失った悲しみを詠んだ一連である。五首目の左注に、この五首は資人の余明軍が、主人を慕う心に堪えられず、心に深く感じて作った歌である、とある。
 作者の余明軍は百済系の渡来人の子孫とされる人物で、大伴旅人の資人、すなわち従者であった。

 初句「遠長く」 いつまでも長く、の意である。
 二句「仕へむものと」 お仕えしようと、の意で、「む」は意志を表す。
 三句「思へりし」 「り」は存続、「し」は過去で、思っていた、の意である。
 四句「君しまさねば」 「し」は強意、「まさ」は「あり」の尊敬語「ます」の未然形、「ね」は打消の已然形で、わが君がいらっしゃらないので、の意である。
 結句「心どもなし」 「心ど」はしっかりした心、気力のことで、心の張りもない、と喪失感で結んでいる。

こころど:しっかりした心、気力
作者
余明軍
出典
万葉集
前の歌
君に恋ひいたもすべなみ葦鶴の 哭のみし泣かゆ朝夕にして
次の歌
みどり子の匍ひたもとほり朝夕に 哭のみぞ我が泣く君なしにして