出でて行く道知らませばあらかじめ
妹を留めむ関も置かましを
- 歌の意味
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妻が出て行く道を知っていたならば、前もって、妻を引き留める関所でも置いておいたのに。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 468
詞書は前の歌に続き「又家持の作る歌一首并せて短歌」の「反歌」
亡き妻を悼んだ長歌の反歌の二首目である。妻が死出の旅に出て行く道を前もって知っていたなら、そこに関所を置いて引き留めたのにと、どうにもならない死を前にした悔しさを詠んでいる。死を旅立ちになぞらえ、関所で引き留めるという発想に、妻を失いたくなかった切実な思いがこもっている。
天平十一年(739)夏六月から秋にかけて、大伴家持が亡くなった妾を悼んで詠んだ一連の挽歌である。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。越中守、因幡守などを経て中納言に至り、延暦四年(785)に没した。万葉集の編纂に深く関わったとされる。
初句「出でて行く」 出て行く、の意で、死出の旅を指している。
二句「道知らませば」 「ませ」は反実仮想の助動詞「まし」の未然形、「ば」は仮定で、道を知っていたならば、の意である。
三句「あらかじめ」 前もって、の意である。
四句「妹を留めむ」 妻を引き留めるための、の意である。
結句「関も置かましを」 関は関所、「まし」は反実仮想、「を」は詠嘆で、関所でも置いておいたのに、と悔しさを込めて結んでいる。
せき:関所
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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時はしもいつもあらむを心痛く い行く我妹かみどり子を置きて
- 次の歌
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妹が見しやどに花咲き時は経ぬ 我が泣く涙いまだ干なくに