かくのみにありけるものを妹も我れも
千年のごとく頼みたりけり
- 歌の意味
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こうなるばかりの定めであったのに、妻も私も、千年も続くかのように互いを頼みにしていたことだ。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 470
詞書「悲緒未だ息まず、更に作る歌五首」
悲しみがなおやまずに作った五首の一首目である。こうして死別する定めであったのに、妻も自分も千年も続くかのように互いを頼みにしていたと、はかない命を知らずに信じ合っていた日々を悔やんでいる。本巻の第四百五十五首の余明軍の歌も「かくのみにありけるものを」で始まり、同じ句で死の定めへの嘆きを述べている。
天平十一年(739)夏六月から秋にかけて、大伴家持が亡くなった妾を悼んで詠んだ一連の挽歌である。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。越中守、因幡守などを経て中納言に至り、延暦四年(785)に没した。万葉集の編纂に深く関わったとされる。
初句「かくのみに」 こうなるばかりに、の意で、死別の定めを指している。本巻の第四百五十五首と同じ初句である。
二句「ありけるものを」 そうであったのに、の意で、「ものを」は逆接である。
三句「妹も我れも」 妻も私も、の意で、六音の字余りである。
四句「千年のごとく」 千年も続くかのように、の意である。
結句「頼みたりけり」 「けり」は気づきの詠嘆で、頼みにしていたことだ、と今にして悟った悲しみで結んでいる。
たのむ:頼りにする、あてにする
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹が見しやどに花咲き時は経ぬ 我が泣く涙いまだ干なくに
- 次の歌
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家離りいます我妹を留めかね 山隠しつれ心どもなし