- 歌の意味
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家を離れて去って行く妻を引き留めることができず、山に隠して葬ってしまったので、心の張りもない。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 471
詞書は前の歌に続き「悲緒未だ息まず、更に作る歌五首」
悲しみがなおやまずに作った五首の二首目である。家を離れて去って行く妻を引き留められず、山に葬ってしまったので、もう生きる張り合いもないと、喪失感の深さを詠んでいる。本巻の第四百五十七首の余明軍の歌も「心どもなし」で結んでおり、大切な人を失った心の空白を同じ語で表している。
天平十一年(739)夏六月から秋にかけて、大伴家持が亡くなった妾を悼んで詠んだ一連の挽歌である。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。越中守、因幡守などを経て中納言に至り、延暦四年(785)に没した。万葉集の編纂に深く関わったとされる。
初句「家離り」 家を離れて、の意である。
二句「います我妹を」 「います」は「行く」の尊敬語で、去って行かれる妻を、の意である。
三句「留めかね」 引き留めることができずに、の意である。
四句「山隠しつれ」 「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形で、山に隠してしまったので、の意である。妻を山に葬ったことを指す。
結句「心どもなし」 「心ど」はしっかりした心、気力のことで、心の張りもない、と結んでいる。本巻の第四百五十七首と同じ結句である。
いへざかる:家を離れる
こころど:しっかりした心、気力
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくのみにありけるものを妹も我れも 千年のごとく頼みたりけり
- 次の歌
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世間し常かくのみとかつ知れど 痛き心は忍びかねつも