大伴の名に負ふ靫帯びて万代に
頼みし心いづくか寄せむ
- 歌の意味
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大伴という名にふさわしく靫を身に帯びて、いつまでもと皇子を頼みにしてきたこの心を、今はどこに寄せたらよいのだろう。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 480
詞書は前の歌に続き「十六年甲申春二月、安積皇子の薨ぜし時に、内舎人大伴宿禰家持の作る歌六首」の「反歌」
安積皇子を悼んだ二つ目の長歌の反歌の二首目で、皇子を悼む一連を締めくくる歌である。天皇家を守る武門である大伴氏の名にふさわしく、靫を帯びて皇子に仕え、いつまでもと頼みにしてきた心を、今はどこに寄せればよいのかと、仕えるべき主を失った嘆きを詠んでいる。家持の大伴氏としての誇りと、皇子への深い忠誠心が表れている。左注に、この三首は三月二十四日に作った歌とある。
天平十六年(744)の春、聖武天皇の皇子の安積皇子が十七歳で急死した時、内舎人として仕えていた大伴家持が詠んだ挽歌の一連である。皇子は恭仁京に近い和束の山に葬られた。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。越中守、因幡守などを経て中納言に至り、延暦四年(785)に没した。万葉集の編纂に深く関わったとされる。安積皇子の死の時には内舎人として皇子に仕えていた。
初句「大伴の」 大伴氏は古くから天皇家を守る武門の家柄である。
二句「名に負ふ靫帯びて」 「名に負ふ」は名にふさわしい意、靫は矢を入れて背負う武具である。九音の字余りである。
三句「万代に」 いつまでも、の意である。
四句「頼みし心」 皇子を頼みにしてきた心、の意である。
結句「いづくか寄せむ」 「か」は疑問、「む」は推量で、どこに寄せたらよいのか、と主を失った嘆きで結んでいる。
ゆき:矢を入れて背負う武具、靫
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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はしきかも皇子の命のあり通ひ 見しし活道の道は荒れにけり
- 次の歌
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うつせみの世のことにあれば外に見し 山をや今はよすかと思はむ