我妹子を相知らしめし人をこそ
恋のまされば恨めしみ思へ
- 歌の意味
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いとしいあの人と私を引き合わせた人のことこそ、恋しさがつのるにつれて恨めしく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 494
詞書は前の歌に続き「田部忌寸櫟子の大宰に任けらるる時の歌四首」
四首の三首目で、いとしい女性と引き合わせてくれた人を、恋しさがつのるほど恨めしく思うと詠む。出会わなければこれほど苦しまなかったのにという逆説的な恨みによって、別れを前にした恋の深さを表している。原文に作者の記載はないが、「我妹子」と詠むことから、男性である田部櫟子の歌とみられる。
作者の田部櫟子は、奈良時代初めの官人で、大宰府の官人として筑紫に赴任した。「忌寸」は姓である。
初句「我妹子を」は、いとしい女性をの意である。「我妹子」は男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語で、男性の立場の歌であることを示す。
二句「相知らしめし」は、互いに知り合わせたの意である。「しめ」は使役、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「人をこそ」は仲立ちをした人を指し、係助詞「こそ」で強く取り立てる。結びは結句の已然形「思へ」である。
四句「恋のまされば」は、恋心がまさるのでの意で、「ば」は已然形について確定条件を表す。
結句「恨めしみ思へ」は、恨めしく思うの意で、「こそ」の結びとして已然形で結ぶ。「恨めしみ」は形容詞の語幹に接尾語「み」がついた形である。
わぎもこ:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
- 作者
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田部櫟子(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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置きていなば妹恋ひむかも敷栲の 黒髪敷きて長きこの夜を
- 次の歌
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朝日影にほへる山に照る月の 飽かざる君を山越しに置きて