朝日影にほへる山に照る月の
飽かざる君を山越しに置きて
- 歌の意味
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朝日の光に美しく照り映える山に照る月のように、いくら見ても見飽きることのないあなたを、山の向こうに隔てて置いて。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 495
詞書は前の歌に続き「田部忌寸櫟子の大宰に任けらるる時の歌四首」
四首の最後の歌で、朝日に照り映える山になお残る月を序として、見飽きることのないあなたを山の彼方に隔ててしまうことを嘆く。言いさしの形で終わり、その後に続く嘆きを余韻として残している。原文に作者の記載はないが、「君」と詠むことから、一首目と同じ女性の立場の歌で、舎人吉年の作とみられる。
一首目の「置きていかにせむ」から始まった一連は、本歌の「置きて」で閉じられ、「置く」の語が四首を貫いている。
作者の舎人吉年は、伝未詳の女性で、田部櫟子と親しい間柄にあった人とみられる。「舎人」は氏の名である。
初句「朝日影」は、朝日の光の意である。明け方の光を最初に置き、別れの朝を思わせる。
二句「にほへる山に」の「にほふ」は、色美しく照り映えるの意で、朝日に輝く山の姿を描く。
三句「照る月の」は、朝日の中になお照っている有明の月で、初句からここまでが見飽きない美しさを導く序詞となる。
四句「飽かざる君を」は、いくら見ても飽きることのないあなたをの意である。序詞の月の美しさを恋人の姿に重ねている。
結句「山越しに置きて」は八音の字余りで、山の向こうに隔てて置いての意である。言いさしで終わり、置き去りにする悲しみを余韻とする。一首目の結句「置きていかにせむ」と同じ「置く」の語で、一連を閉じている。
あさひかげ:朝日の光
にほふ:色美しく照り映える
- 作者
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舎人吉年(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我妹子を相知らしめし人をこそ 恋のまされば恨めしみ思へ
- 次の歌
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み熊野の浦の浜木綿百重なす 心は思へど直に逢はぬかも