君が家に我が住坂の家道をも
我れは忘れじ命死なずは
- 歌の意味
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あなたの家に私が住むという住坂の、その家へ通う道のことも、私は忘れはしない。命の絶えない限りは。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 504
詞書「柿本朝臣人麻呂の妻の歌一首」
人麻呂の妻が、夫の家へ通じる住坂の道を、命のある限り忘れないと詠む歌である。「君が家に我が住む」と地名の「住坂」とを掛けて、夫と共に暮らした日々への深い思いを込めている。難解な歌ともされ、夫の家に住むようになった喜びを詠んだとも、別れた後に過去をなつかしんだとも解される。
作者の柿本人麻呂の妻は、名の伝わらない女性である。人麻呂には複数の妻がいたと考えられており、本歌の作者がどの妻にあたるかは明らかでない。
初句「君が家に」は、あなたの家にの意で、二句の「住む」にかかる。
二句「我が住坂の」は、「我が住む」と地名の「住坂」とを掛けた表現である。住坂は大和国宇陀郡にあった坂とされ、初句から二句が「住坂」を導く序の働きをしている。
三句「家道をも」は、家へ向かう道もの意である。「も」は並べる意を含み、夫と過ごした日々とともにの思いがこもる。
四句「我れは忘れじ」の「じ」は打消意志の助動詞で、決して忘れはしないの意である。ここで切れる四句切れとなる。
結句「命死なずは」は、命が絶えない限りはの意で、「ずは」は打消の仮定を表す。倒置によって忘れない期間を示し、思いの強さを強調している。
いへぢ:家へ通う道
すみさか:大和国宇陀郡にあった坂。「住む」を掛ける
- 作者
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柿本人麻呂の妻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉衣のさゐさゐしづみ家の妹に 物言はず来にて思ひかねつも
- 次の歌
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今さらに何をか思はむうち靡き 心は君に寄りにしものを