今さらに何をか思はむうち靡き
心は君に寄りにしものを
- 歌の意味
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今さら何を思い悩むことがあろうか。なびき寄るように、私の心はすっかりあなたに寄せてしまったのだから。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 505
詞書「安倍女郎の歌二首」
心はすっかりあなたに寄り添ってしまったのだから、今さら何を思い悩むことがあろうかと、揺るぎない愛情を述べる歌である。草木が風になびくように心が相手に傾いたさまを「うち靡き」と表し、迷いを捨てた女性の潔さが感じられる。
作者の安倍女郎は、奈良時代初めごろの女性歌人で、阿倍氏の出身とみられるが、伝は未詳である。
初句「今さらに」は、今となってはの意で、すでに心が決まっていることを示す。
二句「何をか思はむ」の「か」は反語の係助詞で、何を思い悩もうか、悩みはしないの意である。「む」の連体形で結び、ここで切れる二句切れとなる。
三句「うち靡き」の「うち」は接頭語で、草木が風になびくように、心が相手に傾き寄るさまを表す。
四句「心は君に」は、私の心はあなたにの意で、思いの向かう先をはっきりと示す。
結句「寄りにしものを」の「に」は完了、「し」は過去の助動詞で、すっかり寄ってしまったのだからの意となる。「ものを」は理由を示しつつ詠嘆を込めている。
なびく:草木などが風に従って横に傾く。心が相手に従い寄る
- 作者
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安倍女郎
- 出典
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万葉集
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君が家に我が住坂の家道をも 我れは忘れじ命死なずは
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