神木にも手は触るといふをうつたへに
人妻といへば触れぬものかも
- 歌の意味
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神木にさえ手を触れることはあるというのに、人妻だというだけで、まったく触れてはならないものなのか。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 517
詞書「大納言兼大将軍大伴卿の歌一首」
神の宿る木にさえ手を触れることはあるというのに、人妻というだけで決して触れてはならないのかと、禁じられた恋へのもどかしさを詠む歌である。神聖なものとの比較によって人妻への思いの強さを誇張しており、機知に富んだ表現となっている。次歌の石川郎女は安麻呂の妻とされ、二首は夫婦の歌として並べられている。
作者の大伴安麻呂は、大伴旅人と坂上郎女の父で、壬申の乱で功をあげ、のちに大納言兼大将軍となった。佐保に邸を構え、佐保大納言と呼ばれた。
初句「神木にも」は、神の宿る木にもの意で、最も触れがたいものを取り上げる。
二句「手は触るといふを」は、手を触れることはあるというのにの意である。「を」は逆接の接続助詞で、三句以下の人妻と対比させる。
三句「うつたへに」は、まったく、ひたすらにの意の副詞で、結句の打消の語と呼応する。
四句「人妻といへば」は、人妻だというとの意で、禁忌の対象を示す。
結句「触れぬものかも」の「かも」は疑問を含む詠嘆で、触れてはならないものなのかと、嘆きとともに問いかけて結ぶ。
かむき:神の宿る木、神木
ひとづま:他人の妻
- 作者
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大伴安麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が持てる三相に搓れる糸もちて 付けてましもの今ぞ悔しき
- 次の歌
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春日野の山辺の道をよそりなく 通ひし君が見えぬころかも