ひさかたの雨も降らぬか雨障み
君にたぐひてこの日暮らさむ
- 歌の意味
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雨でも降ってくれないものか。雨にこもって、あなたに寄り添ってこの日を過ごしたい。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 520
詞書「後人の追ひて同ずる歌一首」
前歌の「雨障み」を受けて、後の人が唱和した歌である。前歌が雨を口実に来ない相手を責めたのに対し、本歌は、雨が降れば雨にこもってあなたと寄り添って一日を過ごせるのにと、雨を願う立場に反転させている。同じ雨を、恋を妨げるものから恋をかなえるものへと転じた趣向である。
作者は詞書に「後人」とあるのみで、名は伝わらない。前歌を読んだ後の時代の人が、その趣に合わせて詠み添えたものとみられる。
初句「ひさかたの」は「雨」にかかる枕詞で、前歌の三句と同じ語で歌い出している。
二句「雨も降らぬか」の「ぬか」は願望を表し、雨でも降ってくれないものかの意となる。ここで切れる二句切れである。
三句「雨障み」は前歌の初句と同じ語で、雨を避けてこもることをいう。前歌では非難の対象であった語を、ここでは望ましいこととして用いている。
四句「君にたぐひて」の「たぐふ」は寄り添う、連れ添うの意で、あなたに寄り添っての意となる。
結句「この日暮らさむ」の「む」は意志を表し、この一日を過ごしたいの意となる。雨の日をあなたと共に過ごしたいという願いで結んでいる。
たぐふ:寄り添う、連れ添う
あまつつみ:雨を避けて家にこもること
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雨障み常する君はひさかたの 昨夜の夜の雨に懲りにけむかも
- 次の歌
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庭に立つ麻手刈り干し布曝す 東女を忘れたまふな