むし衾なごやが下に伏せれども
妹とし寝ねば肌し寒しも
- 歌の意味
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柔らかな夜具の下に横たわっているけれど、あなたと共に寝ていないので、肌が寒いことだ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 524
詞書は前の歌に続き「京職藤原大夫の大伴郎女に贈る歌三首」
柔らかく暖かな夜具にくるまって寝ていても、あなたと共寝をしていないので肌寒いと、恋人と離れて寝る寂しさを訴える歌である。体の感覚を通して孤独を表しており、率直な表現の中に切実な思いがこもる。三首の最後にあたり、次歌から始まる大伴郎女の答えの四首へとつながっていく。
作者の藤原麻呂は、藤原不比等の四男で、藤原京家の祖となった。京職の長官を務めたことから、詞書では京職藤原大夫と呼ばれている。
初句「むし衾」は、からむしなどで作った柔らかな夜具とされる。寝具の暖かさをまず示している。
二句「なごやが下に」の「なごや」は柔らかいものをいう語で、柔らかな夜具の下にの意となる。
三句「伏せれども」は、横たわっているけれどもの意で、「ども」は逆接である。
四句「妹とし寝ねば」の「し」は強意の副助詞で、あなたと寝ないのでの意となる。
結句「肌し寒しも」の「し」は強意、「も」は詠嘆で、肌が寒いことだの意となる。夜具の暖かさと心の寒さとを対比して結んでいる。
むしぶすま:からむしなどで作った柔らかな夜具
なごや:柔らかいもの、柔らかなさま
- 作者
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藤原麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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よく渡る人は年にもありといふを いつの間にぞも我が恋ひにける
- 次の歌
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佐保川の小石踏み渡りぬばたまの 黒馬来る夜は年にもあらぬか