うちひさす宮に行く子をま悲しみ
留むれば苦し遣ればすべなし
- 歌の意味
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宮仕えに出て行く娘をいとしく思うので、引き留めればつらいし、行かせればどうしようもなく寂しい。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 532
詞書「大伴宿奈麻呂宿祢の歌二首 佐保大納言卿の第三子なり」
宮中に仕えるために出て行く女性をいとしく思い、引き留めれば相手を苦しめ、行かせれば自分がどうしようもなくなると、板ばさみの心を詠む歌である。采女などとして出仕する恋人との別れを歌ったものとみられ、「留むれば苦し」と「遣ればすべなし」とを対句に並べて、揺れる心を簡潔に表している。
作者の大伴宿奈麻呂は、詞書の注によれば佐保大納言大伴安麻呂の第三子で、大伴旅人の弟にあたる。坂上郎女の夫となり、坂上大嬢、坂上二嬢の父となった。
初句「うちひさす」は「宮」にかかる枕詞で、日の光が輝く意とされる。
二句「宮に行く子を」は、宮仕えに出て行く女性をの意で、「子」は親しみを込めて女性を呼ぶ語である。
三句「ま悲しみ」の「ま」は接頭語、「悲しみ」は形容詞「悲し」の語幹に「み」がついた形で、いとしく思うのでの意となる。
四句「留むれば苦し」は、引き留めれば苦しいの意で、ここで切れる。結句と対句をなしている。
結句「遣ればすべなし」は、行かせればどうしようもないの意である。四句と対句をなし、どちらを選んでもつらい心の揺れを簡潔に言い表している。
すべ:手立て、方法
やる:行かせる、送り出す
- 作者
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大伴宿奈麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梓弓爪引く夜音の遠音にも 君が御幸を聞かくしよしも
- 次の歌
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難波潟潮干のなごり飽くまでに 人の見る子を我れし羨しも