敷栲の手枕まかず間置きて
年ぞ経にける逢はなく思へば
- 歌の意味
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手枕を交わすこともなく間を置いて、一年が過ぎてしまったことだ。逢わずにいることを思うと。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 535
詞書は前の歌に続き「反歌」
安貴王の長歌(第五百三十四首)に添えられた反歌である。恋しい人と手枕を交わすこともなく隔てられ、もう一年がたってしまったと、逢えずにいる時の長さを嘆く。
左注によれば、安貴王は因幡国の八上采女を妻として深く愛したが、采女を犯したとして不敬の罪に問われ、采女は本郷に退けられた。王はこれを悲しんで、この歌を作ったという。
作者の安貴王は、志貴皇子の孫で、春日王の子とされる。
初句「敷栲の」は、寝床に敷く布の意から「手枕」「枕」などにかかる枕詞である。
二句「手枕まかず」は、手枕を交わすこともなくの意で、「まく」は枕にすることをいう。
三句「間置きて」は六音の字余りで、間を置いて、隔たっての意である。
四句「年ぞ経にける」は、係助詞「ぞ」で「年」を強め、連体形「ける」で結ぶ。一年が過ぎてしまったことだの意で、ここで切れる四句切れである。
結句「逢はなく思へば」の「逢はなく」は「逢はず」のク語法で、逢わずにいることを思うとの意となる。倒置によって嘆きの理由を示して結ぶ。
たまくら:腕を枕にすること。男女が共寝する際の腕枕
まく:枕にする
- 作者
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安貴王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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難波潟潮干のなごり飽くまでに 人の見る子を我れし羨しも
- 次の歌
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意宇の海の潮干の潟の片思に 思ひや行かむ道の長手を