後れ居て恋ひつつあらずは紀の国の
妹背の山にあらましものを
- 歌の意味
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後に残されて恋い慕っていないで、いっそ紀伊の国の妹背の山であったらよかったのに。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 544
詞書は前の歌に続き「反歌」
神亀元年冬十月の紀伊国行幸の折、従駕の人に贈るため娘子に頼まれて笠金村が作った長歌(第五百四十三首)の反歌である。後に残されて恋い続けるくらいなら、夫婦のように並ぶ紀伊の妹背の山になりたかったと詠む。妹山と背山の名に、いつも寄り添う夫婦の姿を重ねている。
作者の笠金村は、奈良時代前期の宮廷歌人で、行幸に従って多くの歌を残した。本歌は娘子の心になって詠んだ代作である。
初句「後れ居て」は、後に残っていての意で、旅立つ夫に置いていかれた立場を示す。
二句「恋ひつつあらずは」は八音の字余りで、恋い続けているよりはの意である。「ずは」はここでは「〜ないで」の意を表す。
三句「紀の国の」は、紀伊国のの意で、行幸の目的地を示す。
四句「妹背の山に」は、紀ノ川をはさんで向かい合う妹山と背山で、夫婦になぞらえられた山である。
結句「あらましものを」の「まし」は反実仮想の助動詞で、そうであったらよかったのにの意となる。かなわない願いを述べて結ぶ。
いもせのやま:紀伊国の紀ノ川をはさんで向かい合う妹山と背山
おくる:後に残される
- 作者
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笠金村
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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常やまず通ひし君が使ひ来ず 今は逢はじとたゆたひぬらし
- 次の歌
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我が背子が跡踏み求め追ひ行かば 紀の関守い留めてむかも