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大船の思ひ頼みし君が去なば
我れは恋ひむな直に逢ふまでに

歌の意味
大船のように頼りに思っていたあなたが去ってしまったら、私は恋しく思うことだろう。じかに逢うまでは。
鑑賞
巻第四 相聞 550

詞書は前の歌に続き「五年戊辰、大宰少弐石川足人朝臣の遷任するに、筑前国の蘆城の駅家に餞する歌三首」
 送別の三首の二首目で、大船のように頼りにしていたあなたが去ってしまえば、再び直接逢うまで恋しく思うだろうと別れを惜しむ。上司への敬愛を恋の言葉で表しており、官人同士の送別の歌に相聞の表現が用いられている。
 左注に「右の三首は作者未詳」とあり、作者は伝わらない。大宰府の官人の誰かが送別の宴で詠んだものとみられる。

 初句「大船の」は、大船に乗るように頼もしい意から「思ひ頼む」にかかる枕詞である。
 二句「思ひ頼みし」は、頼りに思っていたの意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
 三句「君が去なば」は六音の字余りで、あなたが去ってしまったならばの意となる。
 四句「我れは恋ひむな」の「む」は推量、「な」は詠嘆で、私は恋しく思うことだろうの意となる。ここで切れる四句切れである。
 結句「直に逢ふまでに」は八音の字余りで、じかに逢うまではの意となる。本巻の第四百九十六首の結句「直に逢はぬかも」と同じく、「直に逢ふ」ことへの願いを言う語である。

いぬ:去る、行ってしまう
出典
万葉集
前の歌
天地の神も助けよ草枕 旅行く君が家にいたるまで
次の歌
大和道の島の浦廻に寄する波 間もなけむ我が恋ひまくは