古人のたまへしめたる吉備の酒
病めばすべなし貫簀賜らむ
- 歌の意味
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古なじみのあなたが飲ませてくださった吉備の酒で、酔って苦しくなったらどうしようもない。貫簀もいただきたい。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 554
詞書は前の歌に続き「丹生女王の大宰帥大伴卿に贈る歌二首」
旅人から贈られた吉備の酒に対し、酔って気分が悪くなってはどうしようもないので、貫簀もいただきたいと戯れる歌である。酒を好んだ旅人との親しい交わりをうかがわせる、ユーモアに富んだ一首である。前歌の遠く隔たった恋しさから一転し、贈り物をめぐる軽やかな戯れで二首を結んでいる。
作者の丹生女王は、伝未詳の女性で、大伴旅人と親しい間柄にあったとみられる。贈った相手の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、大宰帥として筑紫に赴任した。
初句「古人の」は、古なじみの人のの意で、旅人を親しみを込めて指す。
二句「たまへしめたる」は、飲ませてくださったの意とされるが、語義には諸説がある。
三句「吉備の酒」は、吉備国産の酒で、旅人から贈られた酒を指す。
四句「病めばすべなし」は、酔って苦しくなればどうしようもないの意である。ここで切れる四句切れとなる。
結句「貫簀賜らむ」の「貫簀」は細い竹を編んだ簀で、盥の上に置いて水が飛び散らないようにしたものとされる。「賜らむ」は、いただきたいの意である。
ぬきす:細い竹を糸で編んだ簀。手を洗う際に水が飛び散らないよう盥の上に置いた
ふるひと:古なじみの人
- 作者
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丹生女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天雲のそくへの極み遠けども 心し行けば恋ふるものかも
- 次の歌
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君がため醸みし待酒安の野に ひとりや飲まむ友なしにして