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大船を漕ぎの進みに岩に触れ
覆らば覆れ妹によりては

歌の意味
大船を漕ぎ進めて行く勢いで岩に触れて、転覆するならしてもかまわない。いとしいあの人のためならば。
鑑賞
巻第四 相聞 557

詞書「土師宿祢水道の筑紫より京に上る海路にて作る歌二首」
 筑紫から都へ上る海路で詠まれた二首の最初の歌である。大船を漕ぎ進めて岩に触れ、転覆するならしてもかまわない、あの人のためならばと、恋人に早く逢いたい一心を大胆に述べる。
 作者の土師水道は、大宰府に仕えた官人とみられ、筑紫から都へ帰る途中にこの歌を詠んだ。

 初句「大船を」は、大きな船をの意で、海路の旅を示す。
 二句「漕ぎの進みに」は、漕ぎ進める勢いにの意である。
 三句「岩に触れ」は、岩にぶつかっての意で、危険な状況を想定している。
 四句「覆らば覆れ」は、転覆するなら転覆せよの意で、同じ動詞を重ねて覚悟を強く示す。ここで切れる四句切れである。
 結句「妹によりては」は、いとしい人のためならばの意で、倒置によって覚悟の理由を最後に示している。

かへる:ひっくり返る、転覆する
作者
土師水道
出典
万葉集
前の歌
筑紫船いまだも来ねばあらかじめ 荒ぶる君を見るが悲しさ
次の歌
ちはやぶる神の社に我が懸けし 幣は賜らむ妹に逢はなくに