ちはやぶる神の社に我が懸けし
幣は賜らむ妹に逢はなくに
- 歌の意味
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神の社に私が捧げた幣は返していただきたい。いとしい人に逢えないのだから。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 558
詞書は前の歌に続き「土師宿祢水道の筑紫より京に上る海路にて作る歌二首」
旅の無事と恋人との再会を祈って神の社に幣を捧げたのに、まだ逢えないのだからその幣を返してほしいと、戯れて神に訴える歌である。神への願いがかなわないことを大胆に言い立てた、機知に富んだ一首である。前歌の命がけの思いに続き、ここでは神にまで恋の不満を向けている。
作者の土師水道は、大宰府に仕えた官人とみられ、筑紫から都へ帰る途中にこの歌を詠んだ。
初句「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞で、勢いの激しい意とされる。
二句「神の社に」は、神を祭る社にの意である。
三句「我が懸けし」は、私が捧げたの意で、幣を神前に懸けて祈ったことをいう。
四句「幣は賜らむ」の「幣」は神に捧げる麻や紙などで、「賜らむ」は返していただきたいの意である。ここで切れる四句切れとなる。
結句「妹に逢はなくに」は、いとしい人に逢えないのだからの意で、倒置によって幣を返せと言う理由を示している。
ぬさ:神に祈るときに捧げる麻や紙などの供え物
- 作者
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土師水道
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大船を漕ぎの進みに岩に触れ 覆らば覆れ妹によりては
- 次の歌
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事もなく生き来しものを老いなみに かかる恋にも我れは逢へるかも