事もなく生き来しものを老いなみに
かかる恋にも我れは逢へるかも
- 歌の意味
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これまで何事もなく平穏に生きてきたのに、老年になって、このような恋に私は出会ってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 559
詞書「大宰大監大伴宿祢百代の恋の歌四首」
大宰大監の大伴百代の恋の歌四首の最初の歌である。これまで平穏に生きてきたのに、年老いてこんな激しい恋に出会ってしまったと、驚きとともに嘆く。老いてからの恋という題材を率直に詠んだ歌で、ほほえましさとともに切実さも感じられる。
作者の大伴百代は、大伴氏の官人で、大宰大監として大伴旅人のもとに仕えた。
初句「事もなく」は、何事もなく、平穏にの意である。
二句「生き来しものを」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形、「ものを」は逆接で、生きてきたのにの意となる。
三句「老いなみに」は、老年になってからの意である。「なみ」は「並」で、老いの頃の意とされる。
四句「かかる恋にも」は、このような恋にもの意で、思いがけない激しい恋を指す。
結句「我れは逢へるかも」の「る」は完了の助動詞「り」の連体形、「かも」は詠嘆で、出会ってしまったことだの意となる。
おいなみ:老年、年老いた頃
- 作者
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大伴百代
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ちはやぶる神の社に我が懸けし 幣は賜らむ妹に逢はなくに
- 次の歌
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恋ひ死なむ後は何せむ生ける日の ためこそ妹を見まく欲りすれ