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恋ひ死なむ後は何せむ生ける日の
ためこそ妹を見まく欲りすれ

歌の意味
恋い死にしてしまった後では何になろう。生きている日のためにこそ、あなたに逢いたいと願うのだ。
鑑賞
巻第四 相聞 560

詞書は前の歌に続き「大宰大監大伴宿祢百代の恋の歌四首」
 恋い焦がれて死んでしまった後では何にもならない、生きている今のうちにこそ逢いたいのだと訴える歌である。死と生とを対比させ、今すぐ逢いたいという切実な願いを強く打ち出している。
 作者の大伴百代は、大伴氏の官人で、大宰大監として大伴旅人のもとに仕えた。

 初句「恋ひ死なむ」の「む」は仮定を表し、恋い死にしたとしたらの意となる。
 二句「後は何せむ」は、その後では何になろうか、何にもならないの意の反語である。ここで切れる二句切れとなる。
 三句「生ける日の」は、生きている日のの意で、初句の「死なむ」と対をなす。
 四句「ためこそ妹を」は、係助詞「こそ」で「ため」を強く取り立てる。結びは結句の「すれ」である。
 結句「見まく欲りすれ」の「見まく」は「見む」のク語法で、逢いたいと願うのだの意となる。「すれ」は「こそ」の結びの已然形である。

ほる:欲する、望む
作者
大伴百代
出典
万葉集
前の歌
事もなく生き来しものを老いなみに かかる恋にも我れは逢へるかも
次の歌
思はぬを思ふと言はば大野なる 御笠の杜の神し知らさむ