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黒髪に白髪交り老ゆるまで
かかる恋にはいまだ逢はなくに

歌の意味
黒髪に白髪が交じり、老いるまで、このような恋にはまだ出会ったことがないのに。
鑑賞
巻第四 相聞 563

詞書「大伴坂上郎女の歌二首」
 黒髪に白髪が交じるほど年を重ねたが、これほどの恋にはまだ出会ったことがないと詠む歌である。前に置かれた大伴百代の「老いなみにかかる恋にも我れは逢へるかも」に応じるように、同じ「かかる恋」の語を用いており、百代の歌への戯れの答えとみる説もある。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。

 初句「黒髪に」は、黒髪にの意で、若さの象徴として示される。
 二句「白髪交り」は、白髪が交じっての意で、年を重ねたことを表す。初句と対比させて老いを印象づけている。
 三句「老ゆるまで」は、老いるまでの意である。本巻の第五百五十九首の「老いなみに」と響き合う。
 四句「かかる恋には」は、このような恋にはの意で、第五百五十九首の「かかる恋にも」と同じ語を用いている。
 結句「いまだ逢はなくに」の「逢はなく」は「逢はず」のク語法、「に」は詠嘆を含む接続助詞で、まだ出会ったことがないのにの意となる。

しろかみ:白髪
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
暇なく人の眉根をいたづらに 掻かしめつつも逢はぬ妹かも
次の歌
山菅の実ならぬことを我れに寄せ 言はれし君は誰れとか寝らむ