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まそ鏡見飽かぬ君に後れてや
朝夕にさびつつ居らむ

歌の意味
澄んだ鏡のように見飽きることのないあなたに後に残されて、私は朝も夕も寂しく過ごすことだろうか。
鑑賞
巻第四 相聞 572

詞書「大宰帥大伴卿の京に上りし後に、沙弥満誓の卿に贈る歌二首」
 大伴旅人が都へ帰った後、筑紫に残った沙弥満誓が旅人に贈った二首の最初の歌である。いくら見ても見飽きなかったあなたに取り残されて、朝も夕も寂しく過ごすのだろうかと、別れた後の寂しさを訴える。親しい友を失った寂しさを、恋の歌のような言葉で表している。
 作者の沙弥満誓は、俗名を笠麻呂といい、美濃守などを務めたのち出家した。造筑紫観世音寺別当として筑紫にあり、旅人らと交わった。

 初句「まそ鏡」は、よく澄んだ鏡の意で、「見る」にかかる枕詞である。
 二句「見飽かぬ君に」は、いくら見ても見飽きないあなたにの意である。
 三句「後れてや」の「後る」は後に残されるの意、「や」は疑問の係助詞で、結びは結句の「む」の連体形である。
 四句「朝夕に」は、朝も夕もの意で、一日中を表す。
 結句「さびつつ居らむ」の「さぶ」は心寂しく思うの意、「つつ」は継続で、寂しく過ごし続けるのだろうかの意となる。

さぶ:心寂しく思う
おくる:後に残される
作者
沙弥満誓
出典
万葉集
前の歌
月夜よし川の音清しいざここに 行くも行かぬも遊びて行かむ
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ぬばたまの黒髪変り白けても 痛き恋には逢ふ時ありけり