古典和歌stream

春日山朝立つ雲の居ぬ日なく
見まくの欲しき君にもあるかも

歌の意味
春日山に朝立つ雲がかからない日はないように、毎日いつも逢いたいと思うあなたであることよ。
鑑賞
巻第四 相聞 584

詞書は前の歌に続き「大伴坂上家の大娘の大伴宿祢家持に報へ贈る歌四首」
 四首の最後の歌で、春日山に毎朝立つ雲を序として、一日も欠かさず逢いたいと思うあなたであると詠む。前歌の恨みから一転して、変わらぬ思慕を率直に述べて一連を結んでいる。
 作者の大伴坂上大嬢は、大伴宿奈麻呂と坂上郎女の娘で、のちに大伴家持の正妻となった。

 初句「春日山」は、奈良の都の東にある山で、坂上家から望まれた山である。
 二句「朝立つ雲の」は、朝に立つ雲のの意である。
 三句「居ぬ日なく」の「居る」は雲がかかっている意で、雲のかからない日はなくの意となる。初句からここまでが四句を導く序詞とされる。
 四句「見まくの欲しき」は、逢いたいと思うの意で、「見まく」は「見む」のク語法である。
 結句「君にもあるかも」の「かも」は詠嘆で、あなたであることよの意となる。

ゐる:雲などがとどまる、かかる
作者
大伴坂上大嬢
出典
万葉集
前の歌
月草のうつろひやすく思へかも 我が思ふ人の言も告げ来ぬ
次の歌
出でていなむ時しはあらむをことさらに 妻恋しつつ立ちていぬべしや