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我が形見見つつ偲はせあらたまの
年の緒長く我れも偲はむ

歌の意味
私の形見を見ながら偲んでください。年月長く、私もあなたを偲びましょう。
鑑賞
巻第四 相聞 587

詞書「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
 笠女郎が大伴家持に贈った二十四首の最初の歌である。私の形見の品を見ながら私を思い出してください、私も長い年月あなたを偲び続けましょうと、形見の品に添えて贈ったとみられる。一連の冒頭にふさわしく、変わらぬ思いを誓う落ち着いた調子で歌い出している。笠女郎の二十四首は、恋の喜びから嘆き、恨みへと移り変わる心を描き、万葉集の女性の相聞歌を代表する一連として名高い。
 作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。

 初句「我が形見」は、私の形見の意で、思い出のよすがとして贈った品を指す。
 二句「見つつ偲はせ」の「偲ふ」は思い慕う、「せ」は尊敬の助動詞「す」の命令形で、見ながら偲んでくださいの意となる。ここで切れる二句切れである。
 三句「あらたまの」は「年」にかかる枕詞である。
 四句「年の緒長く」の「年の緒」は長く続く年月を緒にたとえた語で、長い年月の意となる。
 結句「我れも偲はむ」の「む」は意志を表し、私も偲びましょうの意となる。二句の「偲はせ」と応じ、互いに偲び合う思いを示して結ぶ。

かたみ:思い出のよすがとなる品
としのを:長く続く年月
作者
笠女郎
出典
万葉集
前の歌
相見ずは恋ひずあらましを妹を見て もとなかくのみ恋ひばいかにせむ
次の歌
白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ 我が恋ひわたるこの月ごろを