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衣手を打廻の里にある我れを
知らにぞ人は待てど来ずける

歌の意味
打廻の里にいる私を知らないで、あの人は、いくら待っても来なかったのだ。
鑑賞
巻第四 相聞 589

詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
 打廻の里にいる私のことを知らないで、あの人は待っても来なかったのだと、訪れのない恋人を恨む歌である。相手が来ないのは居場所を知らないからだと言いなして、自らを慰めようとする心がうかがえる。
 作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。

 初句「衣手を」は、衣の袖を打つ意から「打廻」にかかる枕詞とされる。
 二句「打廻の里に」は、打廻の里にの意で、奈良の地にあった里とされる。
 三句「ある我れを」は、住んでいる私をの意である。
 四句「知らにぞ人は」の「知らに」は知らずにの意で、係助詞「ぞ」が強める。結びは結句の「ける」である。
 結句「待てど来ずける」は、待っても来なかったのだの意で、「ける」は「ぞ」の結びの連体形である。

うちみ:打廻の里。奈良の地にあった里とされる
作者
笠女郎
出典
万葉集
前の歌
白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ 我が恋ひわたるこの月ごろを
次の歌
あらたまの年の経ぬれば今しはと ゆめよ我が背子我が名告らすな