あらたまの年の経ぬれば今しはと
ゆめよ我が背子我が名告らすな
- 歌の意味
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年月が経ったので、もう今はよいだろうと、決して私の名を口にしないでください、あなた。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 590
詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
年月が経ったからもう構わないだろうと、決して私の名を人に明かさないでほしいと頼む歌である。恋人の名を人に告げることは恋を公にすることであり、当時は強く忌まれた。長い年月を経ても秘めた恋を守ろうとする女性の心がうかがえる。
作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。
初句「あらたまの」は「年」にかかる枕詞である。
二句「年の経ぬれば」は、年月が経ったのでの意で、「ぬれ」は完了、「ば」は確定条件を表す。
三句「今しはと」の「し」は強意で、もう今は構わないだろうとの意となる。
四句「ゆめよ我が背子」の「ゆめ」は決して、「よ」は呼びかけで、決して、あなたと強く念を押す。
結句「我が名告らすな」の「告らす」は「告る」の尊敬語、「な」は禁止で、私の名を口にしないでくださいの意となる。
のる:名などを口に出して言う、告げる
- 作者
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笠女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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衣手を打廻の里にある我れを 知らにぞ人は待てど来ずける
- 次の歌
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我が思ひを人に知るれか玉櫛笥 開きあけつと夢にし見ゆる