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我が命の全けむ限り忘れめや
いや日に異には思ひ増すとも

歌の意味
私の命が無事である限り、あなたを忘れることがあろうか。日ごとに思いがつのることはあっても。
鑑賞
巻第四 相聞 595

詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
 命のある限りあなたを忘れることなどない、日ごとに思いがつのることはあっても、と変わらぬ愛を誓う歌である。一連の中でも、恋心の強さを最も率直に述べた歌の一つである。
 作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。

 初句「我が命の」は六音の字余りで、私の命がの意である。
 二句「全けむ限り」の「全け」は形容詞「全し」の古い未然形、「む」は推量で、命が無事であろう限りの意となる。
 三句「忘れめや」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形、「や」は反語で、忘れることがあろうか、いやないの意となる。ここで切れる三句切れである。
 四句「いや日に異には」の「いや」はますます、「日に異に」は日ごとにの意である。
 結句「思ひ増すとも」の「とも」は逆接の仮定を表し、思いがつのることはあってもの意となる。忘れるどころか思いは増すばかりだと述べて結ぶ。

ます:増える、まさる
作者
笠女郎
出典
万葉集
前の歌
我がやどの夕蔭草の白露の 消ぬがにもとな思ほゆるかも
次の歌
八百日行く浜の真砂も我が恋に あにまさらじか沖つ島守