伊勢の海の礒もとどろに寄する波
畏き人に恋ひわたるかも
- 歌の意味
-
伊勢の海の磯もとどろくほどに寄せる波のように、恐れ多い人に恋い続けていることだ。
- 鑑賞
-
巻第四 相聞 600
詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
伊勢の海の磯を轟かせて寄せる波を序として、恐れ多い身分の人に恋い続けていると詠む歌である。激しい波の恐ろしさを、身分の高い相手への畏れにつなげている。本巻の第五百九十七首、第五百九十九首と同じ結句をもち、三首が同じ言葉で結ばれている。
作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。
初句「伊勢の海の」は六音の字余りで、伊勢の海のの意である。
二句「礒もとどろに」は、磯も轟くほどにの意で、波の激しさを表す。
三句「寄する波」は寄せる波で、初句からここまでが四句の「畏き」を導く序詞となる。
四句「畏き人に」は、恐れ多い、身分の高い人にの意で、家持を指す。
結句「恋ひわたるかも」は、恋い続けていることだの意で、第五百九十七首、第五百九十九首と同じ結句である。
いそ:岩の多い海辺
- 作者
-
笠女郎
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
朝霧のおほに相見し人故に 命死ぬべく恋ひわたるかも
- 次の歌
-
心ゆも我は思はずき山川も 隔たらなくにかく恋ひむとは