心ゆも我は思はずき山川も
隔たらなくにかく恋ひむとは
- 歌の意味
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少しも思わなかった。山や川が隔てているわけでもないのに、これほど恋しく思うことになろうとは。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 601
詞書は前の歌に続き「笠女郎の大伴宿祢家持に贈る歌二十四首」
山や川に隔てられているわけでもないのに、これほど恋しく思うことになろうとは思いもよらなかったと詠む歌である。近くにいながら逢えない苦しさを、驚きをもって表している。本巻の第六百九首は同じ上二句「心ゆも我は思はずき」をもち、同じ嘆きの言葉が一連の中で繰り返されている。
作者の笠女郎は、奈良時代の女流歌人で、大伴家持に多くの恋の歌を贈った。伝は未詳である。
初句「心ゆも」の「ゆ」は起点を表す上代の格助詞で、打消と呼応して、心の中でも少しもの意となる。
二句「我は思はずき」の「き」は過去の助動詞で、思わなかったの意である。ここで切れる二句切れとなる。
三句「山川も」は、山や川もの意で、人を隔てるものを挙げる。
四句「隔たらなくに」は、隔てていないのにの意である。
結句「かく恋ひむとは」は、これほど恋しく思うことになろうとはの意で、倒置によって二句に返る。
へだたる:隔てられる、離れている
- 作者
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笠女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伊勢の海の礒もとどろに寄する波 畏き人に恋ひわたるかも
- 次の歌
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夕されば物思ひまさる見し人の 言とふ姿面影にして